うえびんさんの映画レビュー・感想・評価

うえびん

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市子(2023年製作の映画)

3.3

思い出の…

2023年 戸田彬弘監督作品

杉咲花の独壇場。彼女が演じる主人公・市子は、複雑な背景から終始静かで言葉少ないんだけれど、内に秘めた強い思いを感じさせ、場面ごとに強烈な印象を残す。

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星の旅人たち(2010年製作の映画)

3.6

僕らが旅に出る理由

2012年 アメリカ/スペイン作品

亡くなった息子のバックパックを背負って、それに背を押されながら歩き続ける父の聖地巡礼の道。世界遺産サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す8
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.3

史実の立体化

2024年 アメリカ/イギリス作品

上映時間の長さもあって見応え十分な作品でした。観終えて一日以上が過ぎましたが、まだお腹がいっぱい、胸いっぱいな感覚です。

科学者としてのオッペン
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美しき冒険旅行(1971年製作の映画)

4.3

野生の思考

1971年 イギリス作品
原題:Walkabout

オーストラリアの都市部
白人の14歳の少女と6歳の弟

父親に車で連れ出されブッシュへ
父親を失い残された姉弟はさまよい歩く

そこ
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猟奇的な彼女(2001年製作の映画)

3.6

宿命か運命か

2001年 韓国作品

有名な作品だと知っていたけど、ジャケ写からコメディ要素が強そうで敬遠していた作品。『ラブ・ストーリー』と同じ監督だったんですね。

予想どおりコメディ要素多めだ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.4

鎮魂

2023年 山崎貴監督作品

観たいと思いながら、機会を逃していたところ、近くの劇場でアカデミー賞受賞記念の上映があって、ようやく観ることができました。

ゴジラの想像以上の迫力に圧倒されると
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華氏451(1966年製作の映画)

3.9

本を焼く者は人をも焼く

1966年 イギリス/フランス作品

活字の存在しない未来の管理社会を描いたレイ・ブラッドベリのSF小説が原作。主人公は消防士のモンターグ。その職務は火を消すのではなく本を燃
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.6

同じ空の下で

2023年 イギリス/アメリカ作品

父と娘
親子水入らずのバカンス

水面と空の青さ
中空を揺蕩うパラグライダーが
印象に残る

二人で撮ったホームビデオ
大人になってそれを見返す娘
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波紋(2023年製作の映画)

3.9

水と共に去りぬ

2023年 荻上直子監督作品

カーテンを開ける
陽が入る
庭に彩りの花が咲いている…

『かもめ食堂』
『川っぺりムコリッタ』
荻上監督作品は冒頭から
作品世界に引きずり込まれる
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燃えよドラゴン(1973年製作の映画)

4.0

don't think! feel.

1973年 香港/アメリカ作品

ブルース・リー。名前は幼いころから聞いているし、映画作品の一部をテレビで観たことはたくんあるし、テーマ曲や「アッチョー!」の声
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夏時間(2019年製作の映画)

4.2

家族の風景

2021年 韓国作品

キム・ボラ監督『はちどり』に似た作風
こっちの方がいい

子役の二人がいい
山本高広似のお父さんがいい
無口なおじいさんがいい

親子3代
顔つきが似ているからリ
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.0

神への愛か
自己愛か

2021年 フランス/オランダ作品

舞台は17世紀のイタリア・トスカーナ地方・ぺシアの街。日本は江戸時代初期。本作に描かれる庶民の暮らしぶりは、日本の方が豊かだったように感じ
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.9

愛しのエリー

2022年 アメリカ作品

『マザー!』のダーレン・アロノフスキー監督作品。前作は、キリスト教をテーマとしながらも全く救いが感じられない物語でしたが、本作には救いがあり、鑑賞後の余韻が
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

3.9

歴史的転換

1968年 アメリカ/イギリス作品

今から50年以上前に
30年後の人類と世界を描いた作品

眼前に見る実現された世界
過去に創作された世界
両者の対比が面白い

圧倒的な映像美は雄大
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桜色の風が咲く(2022年製作の映画)

3.3

コミュニケーションとは何か

2022年 松本准平監督作品

視力と聴力を次々と失いながらも大学へ進学、その後、東京大学の教授になった福島智さんとその母・令子さんの物語。

以前、NHKライブラリーで
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愛する人に伝える言葉(2021年製作の映画)

3.8

想い残し

2021年 フランス作品

癌で余命宣告を受けた39歳の息子とその母が、互いの人生を見つめ直す物語。息子のバンジャマンを演じるブノワ・マジメルと母を演じるカトリーヌ・ドヌーヴの掛け合いが、
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.8

トウキョウ お天道様の詩

2023年 ヴィム・ヴェンダース監督作品

早朝、掃き掃除の音で目を覚ます
顔を洗い、歯を磨き、ヒゲを整える

植物に水を遣り、着替える

玄関に並べられた携行品
置かれた
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ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.4

大自然の包摂

2017年 アメリカ作品

『ノマドランド』の
クロエ・ジャオ監督作品

高すぎる空
広すぎる大地
眩しすぎる太陽

アメリカの大自然

一場面一場面が絵画のように美しい

とりわけ印
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不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

3.9

意味不明で意味深長

1986年 ソ連作品

こういう世界観は好きだ。異世界なのに既視感も感じられる。アメリカ映画のリアルな宇宙の描写とは違った、シュールで独創的な世界観は、ロシア的宇宙観とでも呼ぶべ
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ガール・オン・ザ・トレイン(2016年製作の映画)

3.5

失意・妄想・狂気

2016年 アメリカ作品

舞台はニューヨーク。離婚の傷が癒えないレイチェル(エミリー・ブラント)は、無職で酒浸り。毎朝電車に乗って、別れた夫と再婚相手のアナが暮らす家の裏庭を車窓
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山の郵便配達(1999年製作の映画)

3.9

思いを届ける

1999年 中国作品

1980年代初頭
中国湖南省の山間地帯

郵便配達を長年勤め上げた父
後継ぎとなる息子

父にとっての最後の旅
息子にとっての初めての旅

山を越え
谷を越え
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ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.8

料理長はつらいよ

2021年 イギリス作品

90分間、全編ワンショット、ノー編集、ノーCGの映像は、臨場感が抜群。主人公のアンディの目の回るような忙しさを追体験させられた。ピリピリした場の空気感、
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離ればなれになっても(2020年製作の映画)

4.3

光陰矢の如し

2020年 イタリア作品
原題:Gli anni più belli(最高の年)

1982年ローマ、16歳のパオロとジュリオとリッカルドの男子3人組。そこにパオロと恋におちたジェンマ
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蛇イチゴ(2003年製作の映画)

4.0

愛しさと 切なさと 心苦しさと 心憎さと

2003年 西川美和監督作品

あり得そうで、あり得なさそうで、やっぱりあり得そうな、ある家族のデタラメな物語。

冒頭の生活感あふれる演出がいい。シャツを
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ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

3.9

夢のまた夢

2000年 デンマーク作品

主人公セルマを演じる
ビョークのための
ビョークの物語

独特の映像世界が印象的

途切れ途切れのカット割り
セピア調でノイズ混じりの色調
ブレとフォーカシ
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ブリキの太鼓(1979年製作の映画)

4.2

アジール

1979年 西ドイツ/ポーランド作品

原作はノーベル賞作家ギュンター・グラス。

物語の語り手・オスカルは3歳で自らの成長を止める。成長をやめたオスカルは、家族や地域や社会の傍観者として
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魚影の群れ(1983年製作の映画)

3.7

海と共に生きる

1983年 相米慎二監督作品

年明け、豊洲市場の初競りで、238kgの青森県大間産のクロマグロが1億1424万円もの高値で競り落とされたそう。その金額の大きさにもびっくりしたけれど
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ヘアスプレー(2007年製作の映画)

4.0

デュアリティ

2007年 アメリカ作品

1960年代のボルチモア。ハイスクールに通うトレーシー(ニッキー・ブロンスキー)は、憧れの人気番組『コーニー・コリンズ・ショー』に出演して踊ることを夢見て奮
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スワロウテイル(1996年製作の映画)

4.1

違和感が調和する

1996年 岩井俊二監督作品

YEN TOWN BANDの『スワロウテイルバタフライ~あいのうた~』は、空で歌えるほどよく聴いたけれど、その曲がテーマの映画を観たいと思うことはな
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EO イーオー(2022年製作の映画)

3.4

馬心と秋の空

2022年 ポーランド作品

赤と黒の2色を基調にした映像は、アート的で美しい。ロバのEOが主馬公なので、馬の視覚に合わせた色調かも?と思って調べてみると、人間が赤・青・緑の三原色で色
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.3

ここではない 何処かへ

2021年 ロシア/フィンランド作品

時は1990年代

モスクワ
→サンクトペテルブルク
→ペテロザボーツク
→ムルマンスク
総移動距離約2000kmのロードムービー
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バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

4.0

生命をつなぐ信仰と食

1989年 デンマーク作品

静かで、穏やかで、暖かい

デンマーク(ユトランド半島)の
小さな漁村

村民たちの慎ましやかな暮らし

村民が集う教会
皆で歌う賛美歌

神の教
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1秒先の彼女(2020年製作の映画)

4.0

時の速さで

2021年 台湾作品

人よりテンポが早いことで何かを逃し続けてきたシャオチー。彼女は、消えてしまった一日を取り戻す旅に出る。

反対に、人よりテンポが遅いことで何かを逃し続けてきたグア
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ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

4.1

地平線の彼方へ

2010年 アメリカ作品

西部劇の概念が覆される作品

空と大地
ただただ黙々と歩く人たち
幌馬車を引く水牛と馬…

一場面一場面が絵画のように美しい

激しい戦いが無い
誰も死な
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(2023年製作の映画)

4.0

おかしみ

2023年 北野武監督作品

“首”というより“顔”。映画やテレビでよく見知ったインパクトの強い顔たちが、歴史上の有名な人物を楽しそうに演じている。一流の役者ばかりなので、どのシーンも強く
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オフィサー・アンド・スパイ(2019年製作の映画)

3.4

ヒゲと軍服

2022年 イタリア/フランス作品

19世紀末のフランスでユダヤ系軍人が冤罪で投獄された「ドレフュス事件」が、丁寧な時代考証や映像で描かれている。

【ドレフュス事件】
1894年、フ
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