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ラストエンペラーのkurageのレビュー・感想・評価

ラストエンペラー(1987年製作の映画)
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久しぶりに観たら、シーン自体は意外と淡々とした描写が続くように感じた。とはいえ、中国最後の皇帝・溥儀の人生自体が皇帝から平民(庭師)になるいうドラマチックさなので、描写が淡々としていてもどうしても変化に富んでしまう。耳に覚えある劇伴が溥儀の人生に伴走していて、壮大ながらもどこか悲しげなのが印象的。

溥儀と奥方がいい雰囲気になっているベッドの中に、第二夫人が「私も〜」と後からやってくるシーンに、皇室なのか時代なのか地域性なのか宗教観なのかわからないが、現代との常識の違いを感じる。今は流石に違うと思うけど日本の皇室もそういう不思議な常識があったと耳にしたことがある。この辺りは西洋人から見たエキゾチックさ?を強調した描写なのでいやらしくなく、タブーに踏み込んでいる感じはしない。シーツの中で動く3人、どこに誰の手がどうやってそうやって、んんん?その足は?みたいな感じなのだけど、シーツの下で楽しく泳いでいるような3人の姿が色っぽくも切ない。そこから出たら自由はないのだから。

引きの絵、隅々まで気を配った美術、衣装の絢爛さ。ベルトリッチの美意識の高さ、妥協の無さが伝わる画面で、CGは使ってないようだから現場はさぞ大変だったのだろうよ、と勝手にお察ししてしまう。

今は懐かしきジョン・ローンが溥儀役にぴったりで、素晴らしいキャスティング。『日本のいちばん長い日』原田版の本木雅弘の昭和天皇といい、こういう端正なお顔の俳優さんは高貴な方の役が似合う。教授も登場。
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