Ryu

ラストエンペラーのRyuのレビュー・感想・評価

ラストエンペラー(1987年製作の映画)
4.1
描こうとしている物語のスケールも壮大すぎるが、中国最後の皇帝溥儀という歴史の事実ベースでしか語れなさそうな人物をあくまで映画という媒体の中で絶妙なバランスをもって描けていたのではないだろうか。

映像の力は言うまでもなく素晴らしいのだが、案外作劇も巧みで、構成がとても良かった。この濃度でスルスル観れてしまう感じは最近観た作品だと『ファニーとアレクサンドル』を思い出した。

また、坂本龍一の演技は喋らせると相変わらずダメダメだけど、佇まいとしては素晴らしいし、音楽は言うまでもなく超一流だと思う。本当に一瞬のシーンではあるが『Rain (I want a Divorce)』は、後々振り返るとある意味で運命の別れ道となる場面なのだが、坂本龍一の音楽によってより劇的なものになったと思う。
『君の名前で僕を呼んで』や『戦場のメリークリスマス』の劇伴もそうだったけど、彼の作る今まで聞いたことはないのにどこか懐かしい、そんな独特な音の響きが好きでした。
改めて坂本龍一氏のご冥福をお祈り致します。
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