ここまで丁寧に作るなら、もっと最後まで徹底的に作りきってほしかったかな。
とは言え、そう求めたくなるほどそこに至るまでの物語にのめり込むこんだ。
皇帝という地位にあり不自由ない生活を送りながらも、囲いの外は見えない。絢爛豪華なはずなのに帝国末期の退廃的な空気がすぐ隣りにある緊張感が拭えない。
本物の紫禁城のスケールと、戦争捕虜時代の灰色で飾り気のない狭い世界との対比が溥儀の数奇で重たい人生をあぶり出してくれる。
美しさというのは影があってこそ。
とは言えこの物語の美しさというのはあまりに儚い。
見ごたえのある素晴らしい映画でした。
そりゃ賞も取るわな。圧巻。