このレビューはネタバレを含みます
ずいぶん昔に観た記憶。
中国史には全く詳しくない私が、この映画で覚えたこともある。
中国最後の皇帝は、愛新覚羅溥儀だということ。
皇帝の住まいは紫禁城ということ。
宦官という存在があること。
西太后という権力者がいたこと。
幼い3歳の溥儀が母親から離されて、乳母と紫禁城に登城する様子は切なく、、、。ただまだ幼さが残る故に、広い城内に興味をもち自由に動き回る無邪気さもあり、まだ救いがあった。
3歳の溥儀が、紫禁城から外を眺めたときの見渡す限り家臣たちの数。。圧倒された🌟
成長するにつれて、籠の中の鳥を実感し、権力はあっても自由がなく、孤独を募らせる。そのため、思春期には反発も大きくなっていく。
何よりも孤独なのは、いつも溥儀の側にいて心の支えになった人たちが離れていってしまうこと。
✋乳母との別れも自分が望んだものではない。勝手に前皇帝の夫人たちに決められた。
✋自分の生活に新風を吹き込んでくれた家庭教師ジョンストンとの別れも辛かったに違いない。
✋諍いはあったものの皇后として側にいた婉容も子を始末され溥儀の元から去り、おかしくなって戻ってくる。
もう一度皇帝生活を味わうことになるが、これすらも日本の傀儡政権のため、言いなりだ。
幼い頃から支配する立場なのに、大人になっても何ひとつ支配できないのだ。
時代が時代ならもてはやされたであろう皇帝。
時代に翻弄されるとは、彼のことをいうのだろうな。人生も後半は刑務所生活を強いられるし、辛いことも多かったはず😢
広くて絢爛豪華だけど、空虚な紫禁城。
灰色の刑務所生活。
そこにいる溥儀の憤りや悲しみが、坂本龍一の壮大で静かな音楽とともにぐっと伝わってくる。
溥儀が最後に自分でチケットを買い、今は観光地となった皇帝時代を過ごした紫禁城を訪れる。
自分の数奇な運命を呪っただろうか、それとも、紫禁城にいる自分と出会い、心の支えになってくれた人たちを懐かしんだだろうか。
コオロギの缶のシーンから、そもそも溥儀はもう居ないのかな。。それともやっぱり本人なのかな、と観る人に余韻を残すラストは、胸にくるものがあった。
激動の時代を生きた溥儀を演じたのはジョンローン。若き青年皇帝時代から晩年の庭師生活までを上手に演じ分けた男前俳優。
なんだか大きい作品を観たなという感覚。
1つの時代の終わりと始まり、転換期について、もう少しちゃんと勉強して知っておきたくなる、そんな作品だった。