ヴぇる

ラストエンペラーのヴぇるのレビュー・感想・評価

ラストエンペラー(1987年製作の映画)
3.0
1988年の作品賞であり、4ヶ国合同制作に加え坂本龍一も音楽を担っている。

彼が担当している音楽はすぐにどこか分かるが、今作とはハマっていないように感じた。彼の音楽は素晴らしいのは当然で周知の事実だが、今作とは雰囲気が違く、勿体ないとすら感じてしまう。曲が浮いてしまっているのだ。

前半部分は物語自体に重きを置かずに、当時の中国の雰囲気や建物、音楽や踊りの方にウエイトを占めている様に感じる。
ストーリー自体は当時は驚愕の真実だったのかも知れないがそこまで強烈でもないし、ラブシーンも必要性を感じずこの演出はよく分からない。
加えて母親が死んだシーン等、ショッキングな話なのだろうが、少年の演技が酷すぎて全く感情移入出来い上に、基本的にエピソードも弱く早く終わってくれないかとウンザリする状況だった。
そしてこれは映画の最後まで続いた欠点だが、エキストラを沢山起用するのは監督の勝手だが、人形の様に感情もなく動くだけのエキストラは冷めるだけだ。ロボットの様に感じるエキストラが何人もいた。

青年になってからの時代の移ろいは非常に面白く政治や日本国も出てくるので興味深い物になり、彼自身の境遇をいついつまでも見守りないという願望に変わっていった。
時代背景を子供時代から忠実に練り込み写しこんでくれれば大分印象が違ったのに残念だ。

総評としては欠点の多い内容であるが、後半部分の素晴らしさは作品賞を獲得した実力通りで、満足することが出来た。
終始後半のような勢いがあれば!4点台は固かったのに惜しいと言った作品になった。
ヴぇる

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