ヒース・レジャーのジョーカーがこの映画の浅ましく醜い豚どもを縛り上げ周囲にばら撒いた札束と証券に火をつけて焼き殺してやったならサイコーに楽しいだろうなー!!!経済音痴で金の話をすると頭が混乱するのでこういう金融業界の人間が生産者より遥かに儲ける社会の矛盾がサッパリ理解できない。年々資本主義がどんなSFやファンタジーよりも摩訶不思議な世界に感じられてくる。
本作のウォール豚どもは欲望に忠実ながらも不屈のバイタリティを持ったある種の魅力は感じるように描かれていて、3時間もの長さを惹きつける壮大な映画のパワーで面白く見ることはできる。問題はスコセッシの演出もディカプリオらの演技も強烈すぎて、あたかもカルト宗教の勧誘のようにともすれば信じ込んでしまう。同じくスコセッシと組んだディカプリオ演じるハワード・ヒューズと同じで漲るヤバいカリスマ性。しかしこれは言うまでもなく皮肉。原作となった本の訳者後書きからして主人公のベルフォートを「こんな奴の話をリアルで聞いたことないけど。香具師じゃないのか?」みたいなことを書いていた。当然スコセッシらも把握した上で映画を撮ってて、こんな胡散臭い俗物に憧れる奴なんかいないだろうと信頼してたのだろうが、残念ながらあなた方は現実の人間を過大評価してたんです。本作の"名言"をドヤ顔で引用してる人たちはトランプやイーロンの養分として立派に育っていることでしょう。皮肉や風刺が難しい時代だ…
マーゴット・ロビーの名を知らしめた点でも大きな意味のある映画。でも心情的に高得点は付けたくないね。出来が良いのが余計悪い。