くりふ

ジャッジ!のくりふのレビュー・感想・評価

ジャッジ!(2013年製作の映画)
1.5
【伊代はもう49なんだからさ】

一見楽しいが、寒い映画。まあ笑えたものの、オレ冷笑してるよな…と我に返ってしまった。

色々感じたことはありますが、一番よくないのは、CMのプロが作ったCMコンテストの映画なのに、よいCMとは何か?という本道から逃げていることだと思います。審査員を審査するって言い訳でしょ。これじゃオチャラケの上滑りにしかなりようがないでしょうね。

ブッキー演じる太田の言う「CMで人を幸せにしたい」って、胡散臭い。CMの役割はまず商品の魅力を伝えて買ってもらうことでしょう。そのために広告代理店があるわけで。

彼が人生変えられたCMに見惚れるシーンがありました。確かにあのキャッチコピーは心に残りますが、それがなんの、どんな魅力ある商品か、覚えている観客はどれだけいるでしょうか?

また、劣化激しい京香さん演じる木沢がコンテストに持ち込む自信作…。実際に海外受賞歴ある(古い)CMですが(その時の審査員が本作の脚本担当)、私は面白いけどあんな商品使いたくねー思いましたが(笑)、これら事例のどこがいいのか、作中での批評が皆無なんですよね…コンテストの映画なのに!

観客も審査に参加できるような感覚が欲しかったですね。もう、それが必須の時代なんじゃないのかなあ。何だかうん十年前の価値観を見せられている気もしますね。

太田の成長物語にもなってませんね。彼はサンタモニカである旋風を巻き起こしますが、これはCMの力でも、CMクリエーターとしての力でもないんですね。

敢えて言えば、太田はプロモーターか営業に向いてるかもってことでしょうか。彼ってこの先どうなるんだろう?

この映画の作者って本当は、CMの力なんて信じてないんじゃないだろうか?

その他、いろいろありますが…止めときます。月並みですが、芯も背骨もなく、志としてTVのバラエティと変わらぬ映画だな、というのが総体的な感想です。

貧相なポケットの中身だけをツギハギして映画にデッチ上げるような真似、もうもう止められないもんですかねえ。伊代はもう49なんだからさあ(←イミフ)。

あ、ブッキーのわざとらしいダメ男は鼻につきましたが、北川景子ちゃんの地でやってんじゃねーのって暴虐ぶりはよかったです(笑)。

<2014.2.9記>
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