良作を観ると、そこに関わった監督を初め、すべての役者やスタッフの方々に、ひとりひとり手をとって、こんな素敵な作品を作ってくれてありがとう！！と感謝したくなる。(残念なことにそんな機会はないのだけれど)
これもそんな作品でした。
妻夫木聡演じる長男の真面目さ、吹っ切れたときの強さ。
池松壮亮演じる次男の駄目さ、根にある優しさと気遣い。
ギシギシ軋むような関係の悪化した家族の、そのひとりひとりが、母の病をきっかけに、少しずつ少しずつ変わっていく。いや、人間ほとんど変われはしない。変わっていくと言うよりも、他者と良い関係を築こうとすることによって、駄目な部分が少し和らぎ、その人が元々持っていて発揮できていなかった良さが際立ってくる。
駄目な自分を受け入れて、相手の駄目さも受け入れる。それぞれの葛藤と努力をあたたかな視線で丁寧に描いていて、じんわりと心が癒された。
