まずはいかにも曰く有り気なおばさん・アン(バーバラ・スティール)のド迫力のドアップ。これを見ただけで期待が高まります。ドでかいビンテージのリンカーンが似合ってる。対する謎の美少女・アリス(ジュリア・パットナム)の幼いながらも何か含んでいそうな表情。陰鬱なアパート。これは面白くなりそうな予感。
が、その後は思った以上の盛り上がりはないまま進んでいく。でしょうね的な。ジュリーのママかわいいとか思いながら。なんやかんやで問題解決し時は流れてラストシーン。アンの娘・ドロシー(ヘザー・ランゲンカンプ)のあの表情。ゾーっとしましたね。と同時に絶望感が。リアルで寒くなりました。ここでぐんと評価アップ。
「殺人者を珍しいキャラクターとして、しかし一般的な母親に共通するいくつかの特徴を持った人物として描くというアイデアでした。」という監督談。はい、怖いですね。「小さい頃はかわいかったのに」これを思わない母親はいないと。いやいやそんなオドロオドロしい感情じゃないとは思うけど...だよね?
あの標本、予算たっぷりな作品でこれ以上ないくらい美しい仕上がりだったらよかったなぁ。まああのくらいがアンおばさん作の限界といえばそうなのかもしれない。