きゅうげん

サリー 死霊と戯れる少女のきゅうげんのレビュー・感想・評価

サリー 死霊と戯れる少女(2012年製作の映画)
2.6
玉石混淆のエクソシズム・ホラーでも、かのコリン・ウィルソンが紹介し世に広まった実在の心霊事件という期待できる背景とは裏腹に、かなりボンヤリな出来と言わざるをえません。

花とかバレエとかポルターガイストの諸要素は取り留めなく、大事なアイテムのロケットも唐突で整合性に欠けます。
しばらくずっと匂わされる“森”とか“殺人”とかのキーワードは雰囲気を醸成するに至らず、数えるほどの心霊登場シーンは完成度が低くつまらないうえ、ラストの幽霊バトルはかなり酷い内容。

小さい作品のため、俳優の演技(とくに子役のふたり)にケチつけるべきではありませんが、しかし輪をかけてダメにしてるのが脚本や編集のつぎはぎ感。
主人公家族や周囲の人々の関係性をはやくから提示する一方、その細やかな発展・伸長には頓着しない流れのため誰にも肩入れできないまま進みます。信じる派・信じない派の相克もほとんど無意味。登場人物間の接続・物語展開の接続があまりに不完全燃焼です。
メガネおまえ、どこの何の誰なんだよ。
アボカドの木は結局どうなんだよ。

そのくせポスターでは女の子を裸に剥いたり、お手洗いシーンではその音を際立たせてみたり、家系ホラーあるある「掛け布団引っぺがしシーン」では太もも撫でたり、下卑た腹づもりばかり目についてホントうんざり。
最後に「ヨーロッパでいちばん怖い心霊事件であった……」みたいな説明がついた時は、さすがに笑っちゃいました。
この逃げるような幕引きが、作り手の姿勢そのもののように思えて鼻持ちならないです。

ところで(かなり大根だけど)影ある不思議ちゃん優等生を演じてた女の子、この作品きりってのは残念ですね。エマ・ワトソン的に跳ねそうな感じだったのに。