前作「戦火のナージャ」と同様またもや破茶滅茶なストーリーの中に今作では更にメロドラマ的味付けが加えられ、観る者の感情に揺さぶりを掛ける。
結局のところ、全体主義国家の体制と戦争に為すすべもなく翻弄される人間どものあまりに可笑しくも愛おしい生き様を描いた一大叙事詩の完結編といったところか。
これほどまでに国家に裏切られても尚、人生を愛し家族を愛し命を投げ打って無謀過ぎる戦いに最後まで臨むコトフ。
幸いにも敵軍の自爆により命を救われたところで死んだ筈の娘ナージャとの劇的な再会を果たす。
そして訪れる三部作最大の悲劇。
自分に駆け寄って来る途中で地雷を踏んでしまったナージャの足を上から踏み付け、ナージャの足をブーツから抜き取らせてゆっくりと後退して離れるよう命令を下す。
天を仰ぐコトフが最後に見た雲間から洩れる光芒は、偽りの太陽ではなくヤコブの梯子(天国への道)だったのだろうか。