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バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所のotakonのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

低予算ホラー映画の音響スタジオに雇われたギルデロイ。異国の地で言葉も通じない。外出を一切する事なく仕事漬けの日々に少しずつ疲弊し、精神が磨耗し、現実と映画の世界の境目を失っていく・・・といった感じの話。

人体をズタズタにする、髪を引きちぎる、人を水の中に沈めて溺れさせる、といった残虐なシーンが次々と出て来るけれど、終始映像はこちら側には見えなくて、野菜を巧みに操って音を入れる技師達しか見えない。グロいシーンを受け手の想像に完全に委ねた演出が良かった。

最後は文字通り気が触れてしまったところで終わるのですが、精神が崩壊したのがいつからだったのかが全く読めないのが逆に面白い。

自分自身が映画に出演しているのを見た時か?
スタジオに来るために乗った飛行機が存在しないと言われた時か?
母からの手紙が急にグロい内容に変わった時か?
なんて事を考えてると、そもそもギルデロイは本当に録音技師でイタリアで仕事をしていたのか?ってとこまで遡れてしまう。

音を録るために潰れた野菜をやたら官能的に映したり、女優が叫び声を上げ続ける様子を延々と引いていくことで表現したり、画の見せ方も幅広くて良かった。

人には非常にオススメしにくい作品ではありますが、クローネンバーグやデヴィッド・リンチが好きなら楽しめるのでは?な作品でした。
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