難解だという評判に身構えたが、天体物理や量子力学等この手の話が好きな私は中々すんなり飲み込めた。…筈。
あっさり他銀河とか他時空に行けているけど周波数(振動)の問題はどうなっているのか、船は最新技術云々があると仮定しても人体に影響が無さ過ぎでは、とか色々気にはなるも映像美に丸め込まれましたね(笑)"未来の自分達＝高次元の存在"という基盤の元で並行世界を仄かしておきながら、多様な自分達と多様な展開を迎えた世界が同時に存在するという部分は話に組み込まないのは整合性が…ともなったが矢張り映像美に丸め込まれた……
音・感覚・スピリチュアル的な次元であり、我々三次元を時間や場所を問わず多角的に見たり感じられる、と言われている非物質的五次元をある種の物質的空間に描写しつつ、しかしながらしっかりと感覚の空間であった事は素晴らしかった。その他の宇宙や銀河系の自然を超越したような美しさと静謐さにも夢中になって見入ってしまった。無音の使い方に鳥肌が。
主人公が宇宙飛行士である以上宇宙や宇宙船メインのシーンになるではあろう。そして相対的な時間という部分がキーである為、一同に人々の描写を出来ないのもわかる。わかるのだがもう少し地球に残されていた人々の方のドラマも欲しかった。娘にしても心理的葛藤や成長シーンが物足りないし、功績を残したという厚みも何だか薄い。そもそも移住計画そのものに関して中途半端ではないかと。結局良くも悪くも身内良ければ良しの展開なのかなとは感じた。
