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インターステラーのdeenityのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
5.0
どうしてノーランの作品はこうも迫力が出るのだろう。宇宙に飛び出してからの映像は圧巻だった。美しく、それでいて、牙をむく。紙一重の表裏の世界、宇宙。その世界に期待をさせ、且つ、絶望を感じさせる。まだ見ぬ未知の世界をこうも見事に表現したのはさすがの監督の手腕と評価すべき。もともとCGにあまり頼らない監督だからこそなのだろう、映像へのこだわりを感じた。

脚本も所々に伏線を張り、わかりやすい伏線が多かったがしっかり拾い、無駄のないストーリー展開だったと思う。どこにこの映画の落とし所を持っていくのかも読めず、3時間弱の大作ということを感じさせない充実感もあった。特に終盤の何とか子供を守りたいクーパーとせめて自分の家族を守りたいトム、そして地球に残った人たちを救いたいマーフ、この三人の構図が入り混じる様はノーラン節という感じがして個人的には好きだった。

それにしても作品への吸引力が凄かった。作品の設定も前半でしっかりと作り込まれていて、数年後の地球だということ、もう地球の寿命は長くはないこと、だからこそ家族を置いてまで地球を出なければいけないこと。親子の関係性も十分描けていたから宇宙での切なさや感動も伝わったし、はっきり言って理論的なことは理屈が通ってるかなんてわからなくて、でも『インセプション』なんかもしっかり理屈の通った脚本だったから筋は通ってるんじゃないかと思えてきて、だけどある程度の理解はある意味観客側に投げていて、それでいてグッと作品に食いつかせられているのはわかっていても虜にならざるを得ないんだと実感。

そして相対性理論だったり五次元だったり難しいことよりも愛の気持ちは勝るというメッセージ、また生まれ育った地球から飛び出すのか否かというメッセージ、どちらも心に残り、見終わって満足感があふれた。

ノーランは本当にすごい!ただ自分がこの作品を理解できる知識を持ち合わせていないことが残念だ。
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