みんなの高倉的存在

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌のみんなの高倉的存在のレビュー・感想・評価

3.4
この作品の一番の印象は全く真似できない映像美だった。これだけでも見る価値があるかもしれない。
しかし、ストーリーは分かりにくい、というか、鑑賞後いくら考えても作品に必要無いように思う役・場面があり、ただ散逸していたのではないか。各キャラクターの魅力も少なかった。ただしこれは監督の狙いであって、どんな誰とも薄い関係しか持たない(持てない)ものとして主人公を描くことで、主人公の"根無し草"らしさを表現する大きな仕掛けだったのかもしれない、とも思える。実際そうであるか否かは別として、このようにどうしても推察の域を出ない感想しか抱けない程にこの映画は曖昧であり、ややすっきりしない。
などと否定してしまったが、この映画の肝はその映像美である。60年代アメリカの雰囲気に浸りたいならば、この作品だろう。