サラミ山カルパス

子宮に沈めるのサラミ山カルパスのレビュー・感想・評価

子宮に沈める(2013年製作の映画)
3.0
観終わった今、本気で頭痛がする。

本作を鑑賞する前「宗教2世」として壮絶な人生を送った女性の特集番組を観ていた。生まれながらに母親の信仰を押し付けられ、体罰を受け、それでも教団が自分の居場所だと信じて疑わなかったある日、自由に生きても良いのだと気付く。社会に出て、学歴も職歴も持たない彼女は、就職した会社からパワハラやセクハラを受ける。その時、彼女は「100%母を許せた」という。なぜなら、宗教に救いを求めなければ生きていけないほど、世の中が理不尽だと知ったから。宗教に救いを求めなければ生きていけないほど、世の中が弱者に厳しいと知ったから。ちなみに、女性の母親が宗教にのめり込んだきっかけは「孤立無援の育児ストレス」だった。

本作を選んだのは、この話と何か似通ったものを感じたから。本作で描かれているような「育児」が絡む凄惨な事件は度々あるが、その中で「加害者だけの責任」と言えるものは果たしてあるのだろうか。「加害者の責任」であることは間違いない。しかし、加害者「だけ」の責任ではないのではないか。血眼で加害者に罵詈雑言を浴びせなければ「加害者を擁護するな」と言われる風潮があるが、それで何が変わるのだろうか。前に進めるのだろうか。悲劇を減らせるのだろうか。

人が育児に押し潰されそうになった時、まずは身内を頼り、友人に助けを乞うだろう。

では、頼れる身内や友人がいなかったら?

何が起きるのかは容易に想像がつく。
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