アキラナウェイ

あなたを抱きしめる日までのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

あなたを抱きしめる日まで(2013年製作の映画)
3.6
我が子と引き離される辛さ。
それはきっと想像を絶するもの。

10代で未婚の母となり、幼い息子と強制的に引き離された女性フィロミナ・リーの実話を綴ったマーティン・シックススミスのノンフィクション本が原作。

カトリックの厳しい戒律により、婚前交渉の妊娠で修道院に収容されたフィロミナ・リー(ジュディ・デンチ)。しかし、息子アンソニーは彼女の承諾もなしに、とある家庭の養子に出されてしまう。それから50年。フィロミナはマーティン・シックススミス(スティーヴ・クーガン)と言うジャーナリストの助けを借りて、息子の消息を辿る事に—— 。

修道院での暮らしが奴隷のよう。労働を課せられ、子供と過ごせるのは1日に1時間だけ。ある日突然、我が子が見知らぬ者の運転する車に乗せられ、何処かに連れ去られていくのを門扉越しに眺めるだけの遣る瀬無さ。

事前の説明もなければ、行く先も知らない。ただ、我が子が何処かに養子に出されたという結果だけが知らされる。

自分の事だと準(なぞら)えてみて、とても正気を保てるとは思えない。

50年の時を経て、フィロミナは我が子との再会を果たせるのだろうか—— 。

以下ネタバレ含みますので、ご鑑賞がまだの方は、一旦ここまで。













修道院が秘密を隠蔽してきた事、
その事で母と子が擦れ違い、
永遠に会う事が叶わなかった罪は大きい。

それでも、修道女らの信仰・信念は揺るがない。禁欲の罪を破った少女達が悪いと。

いやいや、こんなのおかしいだろ。
人の道を外れた外道だろ、修道女。

実話モノの宿命か、些か盛り上がりには欠けるものの、かつてこの様な非人動的な行為が罷(まか)り通っていた事への怒りに震える。カトリックがなんぼのものか。養子に出した子と引き換えに金銭を受け取っていたという修道院。金に目が眩んだ時点で己らが信ずる信仰は地に堕ちたと思えよ、修道女。

ジュディ・電池。
ロードムービーとしてお茶目な一面も見せつつ、我が子と自分とを永遠に隔てた門扉の前に立つ時の表情を含め、やはり演技力が半端ない。