なちゅん

あなたを抱きしめる日までのなちゅんのレビュー・感想・評価

あなたを抱きしめる日まで(2013年製作の映画)
4.0
悲しい。
現実って悲しい。
スポットライトを見た時も思ったけれど、厳格なカトリックであるほど、非人道的だったりする。

確かにアンソニー、もとい、マイケルはフィロミナと暮らしていれば、あれほどの成功を収めることはなかったかもしれない。アンソニーは短いながらも幸せな人生を歩んだかもしれない。
けれど、死に行かんとする彼と、彼を片時も忘れずに愛し続けた母親を2度も3度も引き離したのはどうしたって許せない。
シスター・ヒルデガードは彼女の信念に従ったまでかもしれないし、ただ信心深いだけなのかもしれないけれど、彼女の声を荒げた独白は、独りよがりで非道で、やけくそにさえ聞こえた。「私は神に純潔を捧げているのに、罪を犯した者がその罪の結果である息子と再会して幸福を得るだなんて許せない。罪を犯したくせに。」と。赦しという大事な教えが、彼女からはすっぽり抜け落ちてしまっていたみたいだった。
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