『インファナルアフェア』『ディパーテッド』の日本版リメイク後編。オリジナル版やハリウッドリメイク版では深掘りされなかった偽装警察側の心情を丁寧に描くことで、独自の風味を作り出すことに成功していると思う。
とにかく香川照之さんと、この役柄の親和性が高すぎる。孤独の悲哀と狡猾さが常にブレンドされた表情が見事。安直に嫌うことも同情することもできないキャラ造形は香川さんにしかできないような気もする。
オリジナル版では、どうしても正義漢に見えてしまうアンディ・ラウによって善人になりたい葛藤が強調され同情を集めた。ハリウッド版では小悪党に徹したマット・デイモンは憎悪の対象としてディカプリオの引き立て役になっていた。
双方素晴らしい演技だったのだが、「無間地獄」というオリジナル版のコンセプトを最も体現しているのは、清濁を併せ持ち、しかも本音でどちらにも揺れている日本版なのではないかという感想すら。
後編からオリジナル要素が増えたので全体的な脚本演出で粗が見つかりはじめるのだけれども、リメイクならではの付加価値を与えた香川照之さんの演技だけでも一見に値すると思う。
