皐月

グランド・ブダペスト・ホテルの皐月のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ヨーロッパの富裕層がお客様の名門ホテルのグランド・ブダペスト・ホテルのコンシェルジュのグルタブと後に難民だと分かるボーイのゼロ
ゼロの恋人の菓子職人のアガサ
この3人の関係性が観ていてホッコリするものがあって好きだなぁと

ホテルはアガサの作るお菓子のようにお洒落で可愛く
登場人物達も魅力的
乗り物もお洒落で町並みも綺麗でレトロなその世界観に旅をしたくなった

しかし、ホテルのお客様のマダムが殺され濡れ衣をきせられグルタブが逮捕されてしまう
犯人はドミトリーだというのに
マダムが遺産として残した1枚の絵画少年と林檎の価値が理由で
いつの時代になっても遺産の争いがあったり
亡くなった人の声に従うのが当たり前なんだけども
人間の愚かな欲望を感じるのに
ブラックユーモアで上手く描写してるのも凄いなぁと

無実の罪ならばグルタブは刑務所から抜け出しても良いのだから

物語の始めのシーンとラストシーンが繋がっていて
後に、戦争が始まり列車でルッツへ向かおうとするがグルタブが抗議した事でその後亡くなったり
今では、亡くなる人は稀なプロイセン風邪(インフルエンザの事)で、アガサと息子が亡くなったり
ただ、1人生き残ったボーイであったゼロは物憂げな雰囲気を感じさせるものがあるが
高齢になっても、グランド・ブダペスト・ホテルを亡きアガサとの思い出の為にと建物を残す
グルタブとの思い出の深さもあるからグルタブスイートの使用人の部屋で寝るのかなと感じた
ゼロの物憂げな雰囲気とホテルのモノクロさがまた何かを訴えかけるものがあるように感じる
グランド・ブダペスト・ホテルはモノクロになりお客様が殆どいなくても、私にとっては魅力的なホテルだと感じた

ドミトリーの愚かな欲望からの争いからは人間は幸せにはなれない
戦争もまた人間の命を奪ってまで得るものがあったとしても
所有する土地が広くなったり財産になる資源を得ても
人間の命の方が尊い
そして、医療が進化した今を感じて
これもまた、薬剤を研究する人達のおかげだなと思った

物語があらゆる方向で進む中
ブラックユーモアで上手く描写してあるからあまり残忍に感じさせないものがあるのが凄いが
マダムを薬剤で殺し、争いで人が亡くなり、脱獄で仲間が亡くなる

その一部を知った悲しみ
大切な妻や息子とグルタブとの絆
1人残された淋しさがゼロにはある
それでも、ホテルは大切なゼロの居場所

良い思い出までは失いたくないのだと思う
それは、ゼロにとってとても大切なのだから

エンドロールの音楽もコメディ作品と合っていて絵もあり可愛かったな

様々な物事が2時間弱の映画で起きてしまうからより理解する為にまた観たいと思ったな
皐月

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