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47RONINのmatchypotterのレビュー・感想・評価

47RONIN(2013年製作の映画)
3.4
《侍の映画》、Vol.13。『47RONIN』。
この企画、最大の亜流作品をブッ込む。

『47人の刺客』『決算!忠臣蔵』を観て、これを観ないわけにもいかないかと急に思い出して久しぶりに観た。

『ラストサムライ』に続きたくて、出来上がったのは『モータルコンバット』でした、みたいな独特の洋風ベースの日本古来の“侍魂”を描きたい作品。

日本の文化や伝統、世界観、風土、そして、赤穂浪士の吉良への“討ち入り”の理由、結末、そして、歴史、文献、その他もろもろ事実と比べて観たら、この作品は一巻の終わり。

この映画は、それらをどれだけ正しくなぞらえてるかで評価とかしようものなら、というか、評価しようがない。

かなり、アクロバットな世界観と独特の展開、描写。
江戸時代なのに、かなり“伝説”感がある。
謎の生き物とか、魑魅魍魎的な何か、そして、魔女的な、、、。

だからなのか、何となく江戸時代よりも鎌倉時代の『陰陽師』っぽい、呪術や怨霊的な、スーパーナチュラルさが漂う。

そう言う点も踏まえて、どれだけ西洋が東洋のジャパニーズ文化を神秘的なものとして捉えてるかがありのままに伝わってくる。

「いやいや、実際の日本はそれほど不思議ではないよ」的な。
そういう意味で、日本をかなり神がかったものに持ち上げてくれてありがとうと言う気さえしてくる。

亜流で、アクロバットで、飛び道具的な作風。
それでも、赤穂の“侍魂”を描かんとし、それを感じれるのは他でもない。
日本から超一流の日本の役者達がそれを支えているから。

田中泯、真田広之、浅野忠信、柴咲コウ、赤西仁、菊地凛子。そして、日本が好きなキアヌ。

彼らが、途方もなく散らかってわけわからなくなりそうなこの映画で「絶対に侍と日本の魂を描いてやる、そうはさせないぞ」と言わんばかりに日本の出来事にしている。

その気迫。鬼気迫る。
何なら、製作陣ですら「え?それで良いの?まぁ日本人の役者がそうしてるし、それで、、、ええか」となってるんじゃないかと思うぐらい、彼らが“こっち”に寄せてくれてるんだと思える。

その力強さ。
どこまでいっちゃってても、「実際の日本人、侍、日本の風情、そんなことないからね」が沢山あっても、どこかでオリエンタルな東洋の雰囲気を感じられるのは彼らのおかげ。

その彼らにだけは賛辞を送りたい。

アクションシーンや、魑魅魍魎の造形、力強さと迫力、地の底から出てくるような重低音は、日本らしさかどうかは置いておいて、何にせよ「こういう世界」に引き込む強さはある。

とにかく独特だけど、これと決めたからにはみんなが“討ち入り”の映画やるぞと腹は決めてることは伝わる映画。

でも、徳川さん「あ、そうそう。大石、こんなことになっちゃったけど“討ち入り”とかだけはダメだかんな!んで、浅野の姫は吉良にあげちゃう」とコントみたいなフリしちゃダメでしょ。

“武士の恥”とは、そういうことではない。

そして、銀色の巨体のモンスター侍。お前は、、、そんな感じか。

とか、言い出したらダメってこと。この映画は。
みんな、頑張ってる。それが“侍魂”。
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