Eike

ザ・コール [緊急通報指令室]のEikeのレビュー・感想・評価

3.0
”オスカー女優”ハル・ベリー主演のサスペンス。
本作を見て真っ先に思い出したのクリス・エバンス&キム・ベイジンガー、それとブレイク前のジェイソン・ステイサムが共演した「 セルラー 」(2004)かな。
この両作品とも、誘拐された女性からの電話を受けた人物が懸命に彼女を救おうとする姿を描いております。
ただ、設定としてはヒロインが911の緊急通報の受信オペレーターである本作の方が無理が無くスンナリと入り込める気がします。
約90分の作品ですがベテランの緊急通報オペレーター、ジョーダン(H・ベリー)はクライマックスまで、ほとんど指令室に張り付いたまま。
シリアルキラーに拉致されたティーンエイジャーのケイシー(アビゲイル・ブレズリン、すっかり成熟しちゃって...)と彼女を結ぶのはケイシーが拾ったプリペイド携帯のみ。
ブレズリン嬢は閉じ込められた車のトランクから取り乱しながら(当たり前か)911に助けを求めます。
そのコールを受けてジョーダンは彼女を落ち着かせつつ、ケイシーとの会話を通じて救出に向けた情報収集を開始。
得られた情報を集積し緊急配備された警官たちに伝達し犯人の追跡が始まります。
この部分こそが本作の核心部分ではあります。

面白いのは拉致されたブレズリン嬢は拉致されたことから生じるサスペンスや彼女の救援に向けた警察側の動きもあり、見せ場が多い。
一方のジョーダンに扮するベリー女史はあくまで指令室での電話の受け答えがメインという事で決して派手な展開が用意されてはいないということ。
この点で映像的にはベリー女史は貧乏くじを引いている気もするのですがそこは”オスカー女優”の名に懸けて負ける訳にはまいりません(笑)。
以前に起きた事件の悲劇的な結果をトラウマとして引きずっているという設定の元、電話を通じてケーシーを励ますジョーダンの表情をとにかくアップで見せる見せる(笑)。

911オペレーターの原則を自ら破って「必ず救い出す」とケーシーに約束したジョーダンの捨て身の行動が描かれるラスト20分はまぁ「お約束」ですね。
あくまで娯楽映画ですから都合の良い展開だなぁ…なんて突っ込むのは...野暮ってもんでしょう。
ラストの落とし前のつけ方を含め、ちょっと懐かしさも感じる米国製のB級映画です(もちろんけなしている訳ではありません)。
ところで本作の制作スタジオはWWE(米国の大手プロレス団体が設立したスタジオです)。
そう考えると肩の凝らない娯楽作の作り手としてはしっくり来るかな。
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