本作はハードボイルド・テイスト強めで血しぶき多め。登場人物の掘り下げがやや不十分で人情味が希薄と言う気は確かにするけれど、『破れ！唐人剣』に続いて安田公義監督は自分の好みに合うのかもしれない。陰影と色彩を豊かに映し出す宮川一夫による撮影は見事で、ロケ地の自然は美しく美術セットのクオリティも高く見どころ満載。居酒屋のシーンが多めなのも私には嬉しいポイント。出演者の中では綺麗な顔してビヤッチな野川由美子の妖艶な魅力が印象的。もうひとりのヒロイン三木本賀代も純朴で可憐な娘役を好演。志村喬の存在感＆安定感は本作に幾らかの深みを与えていて流石。悪役は全般的にあともう一息、もう少しキャラが立っていればなぁ〜
ところで座頭市シリーズは作品数が多いのに題名がアバウトだったりするので内容と一致せずにワケ分からなくなるんだけど、今回のは特に酷くて劇中に『果し状』なんてものは出て来ない(笑)
