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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの都部のレビュー・感想・評価

4.1
敬愛するジェームズ・ガン監督の名を名実共に一大エンタメ映画監督に押し上げた痛快スペースオペラであり、彼がそれまでの作品で通底してきた人生を正しく綺麗に生きることに失敗してしまった者達の奮起物のある意味での集大成的な作品でもある。

本作の最大の魅力はジュークボックスミュージカル的な音楽と物語の融合にあり、スペースオペラの代表作のスターウォーズやスター・トレックなどに見られる ジャンルの型を破り、独自の面白味を追求している点にある。

作中で使用される劇伴が登場人物の内心を比喩するといった手法は珍しくないが、それを本編で一貫して行うことで演出として極まらせる形でそれらを開拓している。結果的にそれが物語の痛快無比性を引き立てており、構成要素のアンサンブルの支える重要なピースとなっている。

規模感の大きさに対する抜けを感じるオフビートな態度というものが全編に渡りあるのも特徴的で、語り部:スターロードのコミック的な馬鹿馬鹿しさを伴った小市民的な人柄が物語に広く伝播する形で作用しているのも事実だろう。その上でスペースオペラの熱を感じさせるスリルを絶え間なく与えさせ、エンタメ作品として重要な間のある飽きのタイミングを次々に回避する構成は面白い。

脛に傷を持つ負け犬達の団結もエモーショナルで、家族を喪った者が新たなる家族を得ることで過去のトラウマから脱却するという普遍的な物語の構図に色を持たせるのがそれらの独自的なセンスというわけである。地球と宇宙を心理的に繋ぐアイテムとして母親から譲り受けたMIXテープと旧式のウォークマンが採用されてるのが個人的には非常に好みである。本作を経て、音楽好きになったと言っても過言ではない。
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