ミサホ

クレイグスリスト・キラーのミサホのレビュー・感想・評価

クレイグスリスト・キラー(2011年製作の映画)
3.5
こういうシリアルキラーを描いた作品は、一様に重くて、夜や暗闇の描写が多く、往々にして画面が暗いのだけれど、これは違った。

爽やかな学園もの、もしくはラブコメくらい画面が明るくて、とてもシリアルキラーものとは思えない。非常に観やすかった。90分ほどの時間もちょうどいい。

本作は実話ベースとなっている。
クレイグスリストとは、アメリカ🇺🇸のコミュニティサイトのひとつで、求人広告としても使われているそうだ。

ひとつ前に観た『ロストガールズ』で犠牲になった娼婦たちもクレイグスリストを使って客を取っていた。

フィリップ(ジェイク・マグドーマン)は、医大生。成績優秀で見た目も悪くない。実に爽やかだ。そんな非の打ち所がない彼は、どうしようもない闇を抱えていた。

彼は付き合い始めて半年くらいの恋人メーガン(アグネス・ブルックナー)との結婚を考えている。そうなると、ご両親に挨拶しなきゃとフィリップはある日、メーガンの実家へ。

フィリップはおののいた。

メーガンは裕福な家のご令嬢だったのだ。
聞いてないよ〜!である。しかも、フィリップの家とは真逆のようだ。フィリップは豪勢な料理が並ぶ歓待を前にクラクラする。

そんな劣等感もあったのだろうか。
彼は、夜な夜なクレイグスリストのアダルトサイトにアクセスし、女性を物色。

一方、メーガンは、彼にぞっこんだ。彼女はフィリップほどの頭脳は持ち合わせていない。だから、優秀な医学生である彼にのめり込んでいた。

メーガンがキャハキャハ言いながら、有頂天で結婚の準備に励んでいる中、フィリップは衝動を抑えられずにアダルトサイトで娼婦を買うのだ。そして殺す。

警察も動きだす。ニュースで連日報道され、マスコミは騒ぎ立てる。そうして、フィリップの人生は一転する。

メーガンがとにかく気の毒。
フィリップが逮捕されてもなお、自宅に張り付くマスコミを前に「これは誤認逮捕だ」と声明を出したりする。しかし、徒労に終わるのである。提示される数々の証拠にうなだれるしかなかった。

フィリップは、メーガンを心から愛していたのであろう。幸せは目の前にあるのに、自分の中に渦巻いているどす黒い衝動をどうしても抑えることが出来なかった。

昼の顔と夜の顔。
表の顔と裏の顔。
光と闇。白と黒。

お医者さんとか教師とか、それらの職業が持つイメージと、その人の人格や言動のギャップが激しいとやっぱり驚いちゃうよね。
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