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テンプル・グランディン~自閉症とともにのMaoryu002のレビュー・感想・評価

4.7
テンプル・グランディン(クレア・デインズ)は4歳で自閉症と診断されるが、母親や教師、友人たちの理解と支えによって、心理学学士、動物学修士、動物学博士を取得し、牛の苦痛を考慮した肥育施設や食肉処理器具を設計するようになる。

タイトルどおり、自閉症とともに生きようとするエピソードと、牛を扱うエピソードの2つが絡み合う構成で、それぞれがとっても心に響くだけでなく、娯楽作としても面白かった。

自閉症と向き合うということで、どうしてもシリアスになりがちだけど、NASAやアニマルハズバンドの妄想とか、笑えるところもいっぱい。
牛の目線での研究なんかも映像が実に巧くて、そもそも動物の肉を食べるな!って最近の議論は脇に置いて観ないとダメだな。笑

そして、自閉症を克服するんじゃなく、共に生きるという姿勢が前面に出てた。だからこそ、ある女性が困難に立ち向かって、自分からドアを開けるというシンプルな物語としての質の高さにも感心させられた。

“私は人と違うけれど劣ってはいない。他の人とは違う視線で世界を見る才能がある。母が後押ししてくれて、周りの人たちがドアを開ける手伝いをしてくれた。”
劇中の彼女の言葉に全てが詰まっていて、そりゃあ涙が止まらなかった。
あれは自閉症というだけでなく、世界中のマイノリティへのエールだ!

振り返れば、クレア・デインズがアイドル女優から脱却した作品だったのかも。
それに、同じくアイドル的扱いだったジュリア・オーモンドは年を重ねてからの方がずっといいし、大好きなデヴィッド・ストラザーンもオイシイ役で素晴らしかった!
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