16世紀、イングランド国王ヘンリー8世の愚行に対し、沈黙の拒絶を貫いたトマス・モアの物語。
とにかく仰々しく重々しいんだけど、争う内容は離婚にローマからの離脱に宣誓にと、現代日本に生きる自分には全くピンとこないものばかり。
諸悪の根源は家臣を殺しまくって、結局6回も結婚した暴君ヘンリー8世。ロバート・ショウの出番が少なく、あまり存在感はなかった。
この作品が描くのは、ひたすら信念に従うトマス・モアの高潔さと知性だ。”悪魔だって法を犯すまでは無罪” と言う彼のブレない姿勢はフレッド・ジンネマン監督作品の代表みたいなキャラクターに感じた。
どうせなら、彼が言葉で他者を圧倒する裁判劇をもっと観たかったな。
「大列車作戦」「クイズ・ショウ」の名優ポール・スコフィールドはもちろん良かったけど、オーソン・ウェルズの怪演が一番残ったなー。