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クライモリ デッド・リターンの消費者のレビュー・感想・評価

3.6
・ジャンル
スラッシャー/ホラー/カニバリズム

・あらすじ
重い罪を背負う囚人達の巣食うウェストヴァージニア州のある刑務所で密かに立てられていた脱走計画
それは翌週の移送中にメキシコ系ギャングのチャベスと白人ギャングのフロイドの共謀の元、行われる手筈だった
しかしその情報を刑務所長達が掴んだ事から移送は急遽、今夜行われる事に
担当となった看守のネイトとウォルター、そして囚人に扮し潜入していた連邦保安官のウィリー達は厳重に警戒しながらバスを走らせていくのだが間も無く謎の牽引車から攻撃を喰らい横転
死者こそ出なかったが主導権がチャベスに握られてしまう
捜索隊が来るであろう夜明けまでをタイムリミットに互いを睨み合い町へ出ようと進んでいく一行
そこに突如1人の女性が現れる
彼女の名はアレックス、ラフティング後に三つ指の食人一家に襲われ友人達の命が奪われたという人物である
その集団は先程、護送車を襲った者達であった
奇妙な組み合わせで行動を共にする事になった彼らは一家の脅威に目を光らせながら森を歩んでいくが…

・感想
ウェストヴァージニア州グリーンブライヤー郡の森に潜む食人一家の脅威に襲われる人々を描くシリーズ3作目
今作では脱獄囚達と看守、生還者が標的となっている

ラ・エメをモデルにしたと思われるチカーノギャングのチャベス
アーリアン・ブラザーフッドをモデルにしたと思われる白人ギャングのフロイド
この2人の共謀や囚人同士の一触即発な空気などは現実を反映していて悪くなかった
看守ネイトも資本主義の俗物的な部分はありつつも主人公として申し分ない
それだけに彼らがいつまでも何かと揉めて共闘するには至らず話が進んでいくし、そこに注力し過ぎていて食人一家との格闘が十分に描き切れていなかったのが勿体なかったという印象
主人公側の争いは1シークエンスで終わらせて欲しいわ…
何度も繰り返されてもダレてくるし

三つ指で醜い容姿の奇形という食人一家のビジュアルは過去作を踏襲していたしゴア描写もより過激化していて視覚的には楽しかっただけにもっと観やすい構成にして欲しかったなぁというのが否めない

またヒロインにあたる女子大生の生還者アレックスもろくに活躍せず、やっつけでファイナルガールとして最後だけ奮闘する感じで魅力に欠けていたかな、と
食人一家の接近を「私には分かる」としきりに言っていたのもどういう原理なのか明かされないし、余計な介入も多いし…
かと思ったら白人ギャングのフロイドに絡まれ返り討ちにしたり武闘派な側面を突然見せたりしたのも何かね…

加えて過失致死を主張する善人と思われた囚人ブランドンのラストの行動も蛇足に感じた
前作みたいに食人一家のみで後味の悪い演出をして締め括って欲しかったんだけどなぁ
大人の事情なのか一家がミュータントとか呼ばれてたのも違和感しかなかった

そんな感じで惜しい部分が目立つ作品だったけどゴア描写は前述の様に激しくてそこは良かった
しっかりと食人を度々挿んでくれたのも嬉しい(中でも眼球食いと脳食いは最高!)
チャベスによる連邦保安官ウィリーの遺体の脚切りもチカーノギャングらしい残忍さで好き

ここまで観て来てこのシリーズは何か毎度光る部分はあるのに勿体無い事をしがちだなぁという感想を持つ事が多かったからこのへんで明確に名作と言える物が観たい所だけど多分無理なんだろうなぁ…
シリーズ物で1作目を超える作品が3作目以降に出て来たの見た試しないもんな…
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