月下香

On Your Markの月下香のネタバレレビュー・内容・結末

On Your Mark(1995年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

🌙2024.03.03_24-54

ナウシカの前日譚と言われている物語

宮崎駿監督は物語の舞台を「いわゆる世紀末の後の話。放射能が溢れ、病気が蔓延した世界。実際そういう時代が来るんじゃないかと、僕は思っていますが。そこで生きるとはどういうことかを考えながら作りました。」と話している。

ナウシカのオープニングに翼の生えた少女が描かれていたり、1000年前に「火の7日間戦争」により巨大産業文明が一度滅んでいると言い伝えが存在したり...私はナウシカの前日譚という説はかなり有効かなと思う...

地上に出る道には、「日光に注意」「生命の保障はしない」という中国語の電光掲示板。地上にも「極めて危険」という英語の看板が設置されている。
居酒屋には「塩サバ(合成)」「バイオ蛸酢」「本物 やきとり 時価」というメニュー。

絵コンテの横には「永劫回帰」のメモ。
「世の中は同じ事象が永遠に繰り返してくる」
...という19世紀の哲学者ニーチェの思想。
作中2人は羽の生えた少女を助け出す為に2周ループしていたけど、実際はもっと繰り返していたかもしれない。この世紀末の世界も初めてでは無く、何度目かの結末かもしれない...

映画制作に行き詰まっている時に声がかかり制作が開始された本作。CHAGE and ASKAのMVとして制作された作品なので台詞は無し。そのため様々な考察ができて面白い。

「彼女が救世主だったり、救出を通して彼女と心の交流があったというわけではないんです。ただ、状況に全面降伏しないで、自分の希望、ここだけは誰にも触らせないぞというものを持ってるとしたら、それを手放さなければならないのなら、誰の手にも届かないところに放してしまおうという。そういうことですよ。」
月下香

月下香