みよ

とらわれて夏のみよのレビュー・感想・評価

とらわれて夏(2013年製作の映画)
4.3
夫に捨てられ、13歳の息子と二人で田舎町で暮らす女性が、心優しい脱獄囚を愛してしまう甘く切ない夏の5日間を思春期の息子視点で描くラブストーリー。
幸せの黄色いハンカチmeetsマディソン郡の橋!なんて、なんて素敵な話なのこれ!めずらしく手にした恋愛ものがまさかの傑作でした。
成長していく少年の視点で描かれる大人の恋が、直接的な描写はなくとも詩的でロマンティックで上品で且つ官能的で、何気ない仕草や木洩れ日の美しさがじっとりと沁みこんでくる。
3人で作るピーチパイの存在が後々効いてくるなんて、素晴らしい演出。情緒不安定な母を想う少年の優しさも、ところどころ涙をさそいました。
脱獄犯ゆえのばれる?ばれない?のハラハラと禁断の愛にドキドキで、お世辞にもさわやかとは言えないジョシュ・ブローリンとケイト・ウィンスレットのカップルが綺麗すぎないものまたいいんですよ。
やさしいし囚人にとらわれていく母と息子。過去の過ちを少しずつ癒してくれる生活にとらわれる囚人。やがて訪れる3人の皮肉な運命…。階段でのクライマックスシーンの一瞬の沈黙が胸に刺さりました。号泣しすぎてぐちゃぐちゃになるも、暖かい余韻をちゃんと残したのラストに救われる。そこでも泣いたけどもw。
最近流行のキレイキレイな若妻の不倫ドラマなんかよりも断っっっ然こっちのが好きだね。本年度ベスト級の傑作に、見事にとらわれました。
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