垂直落下式サミング

進撃の巨人 ATTACK ON TITANの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(2014年製作の映画)
2.8
壁の向こうから巨人がやって来る!
平成ガメラの特技監督を務めた樋口真嗣が監督、脚本は人気映画評論家の町山智浩、諫山創の超ヒットマンガ『進撃の巨人』を、主演・三浦春馬で映画化!平成の大怪獣映画最新版として、鳴り物入りの企画だったのだけど、見事になんの成果も得られなかった。
このあと『シンゴジラ』に参加しなかったら樋口真嗣という名前は地に落ちてたし、町山智浩も自分の弟子筋にあたる映画秘宝一派の評論家連中に撫で切りにされて赤っ恥だったりして、いろんな不幸を産み出した作品ではある。
僕は、別に言われ過ぎとか全然思わないですけどね。日本映画産業が生んだポンコツ映画ってのは妥当な評価だと思います。
アニメの超かっこいい立体起動をみた後で実写のワイヤーで吊られたアクションなんか見てらんないから、冒頭で壁を突破した巨人が民間人を襲うところが一番の見せ場。小屋に押し込められるのは炎628!
でも、この場面わりかし惨劇が起こってるはずなのに、けっこう退屈なんだよな。なんでだろ。作りものっぽい世界のなかにグロテスクなリアルさを持ち込んでいて、それが映像的なリアルと解離してしまっているから、世界観に入っていけないのかも。
怪獣映画は見立ての文化。巨人は人を食らうモンスターなんだって信じさせてほしいのに、特殊メイクしてるとはいえ裸の人で演じちゃってるから、だんだん面白くなっちゃうんですよね。中年肥り巨人や、ガリガリノッポ巨人はいいんだけど、スラッとした女巨人が出てきたら、男の子はドギマギしちゃって気が散るのよ。
水原希子のミカサは、芯が強いのにメンヘラっぽい感じで、原作のキャラ性をうまいこと実写に置き換えた女兵士を好演。ヴィジュアルもすごくよかったので、もうちょい見ていたかったんだけど、実は生きてて兵士として再登場したあと、隊長にネトラレてるみたいな立ち回りとか不自然だったりして、あんまりいい役回りじゃなかったのが残念でした。
あと、やっぱ前編・後編を連続公開とか、最初っから三部作構想とか、なんちゃらユニバース系は本質的に嫌いです。単純にさ、ひとつの物語に倍の金がかかるのはお財布に不親切じゃない?経済効率で映画を語りすぎるのもどうかと思うけど。