mh

少女は自転車にのってのmhのネタバレレビュー・内容・結末

少女は自転車にのって(2012年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

映画館が禁止(なにそれ?)だったサウジアラビアの女性監督がものにした強烈なデビュー作。
テーマはずばり、イスラム世界(とくにサウジアラビア)における性別分離。
シーア派とか、イスラム過激派は関係なくそもそもサウジアラビアの女性問題がとんでもない。
肌を出してはいけない、同性で仲良くしてはいけない、ケガをして(血を長流しては)いけない。家族以外の男性に見られてはいけないみたいな現実を生きている。
女性は自動車を運転してはいけないという有名な例もあるようで、それを踏まえたうえで、主人公の聡明な少女が自転車を欲しがる話。
家系図には男しか記録されなかったり、一夫多妻制だったり、その世界の常識には、無理があることを巧みに描いてる。
女性教育者が社会勉強の名のもとに、セクハラ・パワハラを再生産している残酷な現実。
賞金のくだり、強制的に寄付からの主人公の捨て台詞が最高だし、息子が欲しいという理由で離れていった父親を引き留めることをやめた母親が実は自転車を買っててくれてたのとか、単純なのにすごいツイストに思えて泣けてくる。
映画のない国で映画を撮ろうと思ってそれを成し遂げた女性監督と主人公の姿がだぶるのとかも最高だった。
自分の自転車を思い切りこぐ――動的なノスタルジイとでもいうようなシーンがとにかくやばい。
中盤まではふつーのドラマだと思ってたので、終盤の畳みかけにやられた。
すげー面白かったです!
mh

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