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旅人は夢を奏でるのodyssのレビュー・感想・評価

旅人は夢を奏でる(2012年製作の映画)
3.5
【シューベルトの幻想ソナタ】

アキ・カウリスマキ監督の兄であるミカ・カウリスマキによる映画。一般には弟のほうが有名ですが、私はアキの作品は(そんなに見ていませんけど)あまり好きではなく、今回初めて兄ミカの映画を見て、まあ悪くないんじゃないかと思いました。

といっても、作風はかなり古典的。安心して見ていられますが、現代人からするとちょっと物足りない気持ちもしないではありません。

30代後半の男性ピアニストが主人公。彼のもとに、或る日突然父親が訪ねてくる。幼いときに別れたきりの父親です。そして嫌々ながら父と旅に出ます。ロードムービーですが、その途中で異母姉に会ったり、祖母に会ったりと、知らなかった血縁者に出会うことになる。そして別居中の妻とも・・・・。

要するに家族再生のロードムービーなんですね。筋書きはちょっとご都合主義というか、「実際の人生、そんなに物事はうまく運ばないよ」と言いたくなるところがありますけど、まあ退屈せずに見ていられますし、最後のあたりはちょっと意外な展開もある。

前半とラストで主人公が弾くシューベルトのピアノソナタト長調「幻想」は私も好きな曲ですが、うまく使われていて感心しました。この映画のムードによく合っていますね。
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