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土竜の唄 潜入捜査官 REIJIの都部のレビュー・感想・評価

土竜の唄 潜入捜査官 REIJI(2014年製作の映画)
2.5
アウトロー節の利いた作品を多く取り扱う三池崇史監督と漫画家:高橋のぼるの原作のコラボレーションは、原作の作風をより大衆向けの映像作品とするという意味で功を奏しているが、映画としての面白さに繋がってる場面は限られており、極道役に慣れ親しんだ往年の俳優陣の演技とパルプなケレン味によりかろうじて楽しめる出来になっている。

というのも序盤〜中盤にかけてのナンセンスな下劣さを伴ったギャグの連続で作風を早々に提示するのは物語の手法として誤りではないが、それにしたってくどい。

それと同時に 端的に言えばしょうもないノリの本編を勢いのある場面で無理やりに繋ぎ合わせている構図が露見するので、物語の筋を綺麗になぞっているが物語の進捗に対しての煩わしさを感じさせるシーンが続く。

全年齢対象作品相応の軽妙な極道映画にも関わらず、下ネタの濃度はそのままなのは三池崇史監督による采配をどうしても覚えてしまうし、そうしたノリが本作の笑いを誘うノリの全てであるのでどうしても苦手意識を抱いてしまうのは無理もないように思う。そうした絶妙な中身のなさはある意味で万人向けではあるのだけれど、破天荒な悪ノリによる物語の推進にメリハリは利いておらず、キャラクターを演じる俳優陣の演技の温度感にもバラツキがあって物語への集中を欠いているのも大きかった。その場その場の展開の面白さには恵まれているが、長期的な映画としての意味あるシーンはほぼないのも気に入らなくて、何も考えずに見られる映画としては優秀だが考える必要がない作品を好んで好ましく思う気分にはどうしてもなれない。
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