トムザイルft.白蛇神

祖谷物語 -おくのひと-のトムザイルft.白蛇神のレビュー・感想・評価

祖谷物語 -おくのひと-(2013年製作の映画)
4.7
遂に見つけた。究極のアンビエント映画といってもいい。壮大でリアルな音と自然と命のストーリーのみならず、ファンタジーすらぶっ込んでくる、これは文句無しの傑作。

リアリズムを描きながらもアニミズムへの敬意を示唆していたり、また民話に基づくものであろう幻想世界もバランスよく織り込まれており、長尺の作品だが時間を忘れるほど観入ってしまうくらいの映像美。

自然との共生というテーマには必ずと言っていいほど「現代社会」における「生活様式」との対峙が避けられないが、この作品ではそうした事やそれに関連する自然保護と公共インフラの対立、社会保障、その他がしっかりと明示されており、環境問題や社会問題にも言及している。

挿入されているピアノとギターとシンセのみによる音楽も素晴らしく、この作品の映像と完全に溶け込んでいる。

どの視点で観るかにもよるが、邦画において本作のような映画は無く、個人的に(アンビエント的)映画として最高レベルと評価したい。

素晴らしい映画。もう一度ゆっくり観たいと思う。