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ルートヴィヒのodyssのレビュー・感想・評価

ルートヴィヒ(2012年製作の映画)
3.0
【もっと美男美女を!】

『ルートヴィヒ』と言えば、ヴィスコンティの有名な映画がまず思い起こされます。同じ題材を扱って作る以上、当然ヴィスコンティの作品を超えるものにならなければいけないわけですが、その辺、どうでしょうね。

まず、主役たちのキャスティングがダメじゃないですか。ルートヴィヒ二世と言ったら、当時も美男の国王として有名だった。それを映画にする以上、外見をまず重視して役者を選ばなきゃいけないのに、主演のザビン・タンブレア、長身なのはいいけど(実際のルートヴィヒ二世も長身だった)、顔はイマイチですね。ここでまず減点。

次に重要なのは、彼の従姉でオーストリー・ハンガリー皇帝フランツ・ヨーゼフの后になっていたエリーザベトです。彼女も、当時のヨーロッパ皇室王室のお后の中で随一の美人とされた人でした。したがってここは絶対美人女優を選ばないといけないのに、ハンナー・ヘルツシュプルングって、「何これ?」じゃないですか。

もっとも、エリーザベトのキャスティングということでいうと、ヴィスコンティ版も「どうかな?」でしたけどね。ロミー・シュナイダーって、私の好みじゃないし、そもそもエリーザベトは細いウェストを保つために食事の制限までしたという人だったのに、女としてのイメージが違うんですよ。もっとも、ロミー・シュナーダーはヴィスコンティの『ルートヴィヒ』に先だってエリーザベトの生涯を描いた映画で主演を務めているので、ヴィスコンティも妥協したのかも知れませんがね。

以上、主役およびそれに準じる役のキャスティングがダメなので、がっくり。ここらは、イタリア人として美的センスを大事にしたヴィスコンティとの差かなあ。今回のこの映画は2人の監督によって作られており、2人とももともとはドイツ語圏の人間じゃないようで、ドイツ人だから美的センスはダメと決めつけるわけにもいかないけど。

よかったのは、ワーグナー役のエドガー・セルジュ。外見的には似ていないけど(ヴィスコンティ版ではそっくりさんだったなあ)、ワーグナーの持っている或る種のいかがわしさをよく出していた。

美的な水準の低さを別にすれば、ルートヴィヒ二世の政治的なヘタレぶりなど、国王不適格なところはよく出ていましたけどね。でも映画だからなあ、あくまで美しくなきゃ・・・
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