yksijoki

トム・アット・ザ・ファームのyksijokiのレビュー・感想・評価

3.2
心の内側をゴソゴソしつつ、なんか刺さるものがなかった。惜しい。暴力と亡き愛する人の幻影とを重ね合わせてしまうストーリー展開とグザヴィエドラン自身の演技と、これを25歳とかで脚本まで仕上げてしまう凄まじさに感服。画作りの独自性にも引き込まれた。

主人公の心の揺れ動きの表現が本作は思っているよりも控えめで、だからこそ周りの機微にも敏感になるし当人が周りの反応をすごく気にしている感じがあった。主人公が愛する人と兄を重ねてしまい、その兄に束縛されていく様は理解できるんだけどシナリオ上のいくつかのなぜ?が消化され切らないまま終わるのと、本心を誰も明らかにしないまま客観的な意見や行動だけで物語が進んで行くのでそこの消化不良感がいなめなかった。

ある種ドランっぽくない正当なサスペンスというか、心がザワザワする展開が続いていくのはとても新鮮だった。色鮮やかさよりもザラッとした手触りを重視している感じもあってそこも良かった。表情のアップを捉え続けるカット割りはさすが。

キャスト★★★★3.9/5.0
ストーリー★★★3.1/5.0
プロット★★★3.0/5.0
バイヴス★★★3.3/5.0
音楽★★★3.5/5.0
映像★★★★4.0/5.0
演出★★★3.2/5.0
全体★★★3.2/5.0
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