サメガミ

白ゆき姫殺人事件のサメガミのレビュー・感想・評価

白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)
4.3
情報化社会へのアンチテーゼをミステリーという立場から表現した映画🎬

序盤、犯人と思われる容疑者の同僚、知人等へのインタビューで事件の概要が明かされていく。
中盤、容疑者の過去や家族等がインタビューによって明かされ、容疑者への疑義が深まっていく。
終盤、容疑者本人の手記によって実際の事件の内容が明かされる。

湊かなえさんによくある被害者が殺されても不思議はないという演出、むしろ容疑者への同情を描くのがほんとうに上手い。
今回も被害者への同情というより容疑者への擁護心が勝るような感覚になった。
洗脳する演出が巧み。
また、メディアやSNSが発達し便利な世の中になった反面、テレビに扇動され見ず知らずの他人をSNSで非難する人。
今回の事件のような問題が起きたときに過去の汚点と因果関係があるかのようにすぐに結びつけ、証拠もないのに犯人であるかのように決めつけ国民を洗脳するメディア。
そんな世の中の嫌な部分を一つの事件を通して表現し、見ている人にこんな世の中になってはいけないというメッセージをこめた作品だと思った。
まさにイヤミスと呼ばれるだけの作家だ。