ルサチマ

武士道シックスティーンのルサチマのレビュー・感想・評価

武士道シックスティーン(2010年製作の映画)
4.8
シックスティーンの学生時代に見慣れた景色が活劇的なロケ地として選択されていたことが嬉しい。部活動に打ち込む高校生はそれだけで美しくて、大人が介入できるものではない。この映画をみんなが見ればきっと未来はもっと明るくなるんじゃないかとさえ思う。

面をつけて顔が見えないはずの剣道において成海璃子と北乃きいの間では顔を認識し合う切り返しが繰り返されることがクライマックスまで一貫される。女子高生としてパフェを喰らうシーンにおいて堂々と正面切り返し(しかもそこで鼻にクリームをつける成海璃子はドリュー・バリモアさながら!)を行う野心は勿論、何より道場の室内空間の拡がり方は西部劇的でもある。

成海璃子と北乃きいの間で行われる剣道はずっと音楽的だとさえ思う。しかしこの映画の成海璃子は『秋刀魚の味』の岩下志麻に匹敵するほど、終始怒っているがその怒りの中の感情のバリエーションが丁寧に演じられていて凄くいい。北乃きいもこんなにいい役者だと思わなかった。僕にもあったかもしれないシックスティーンの輝きを思い出させてくれてありがとう。
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