くじら

それでも夜は明けるのくじらのネタバレレビュー・内容・結末

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

あらすじ
北部で自由黒人だったソロモンが騙されて黒人奴隷プロットにされて1841-1853年にかけて奴隷として過酷な日々を送った、実話に基づいたストーリー。

感想
歴史的背景について
 背景として北部と南部の違いや奴隷解放運動をもっと知ってればもっと見えることがあったのかなと思う。ベネディクト・カンバーバッチが農園主を演じたというのも彼のルーツ的に意味があったんだと思う。ブラピが演じた役のような人がどのくらいいたんだろうか。

俳優について
 ベネディクト・カンバーバッチの演じる農園主が何とも言えない役所が上手かった。奴隷の女性とその子どももかわいそうだからと買おうとしたり聖書の講義をしたり、プロットにバイオリンをあげたり、プロットの心配をしたりと優しそうに見えて、子どもと引き離され泣き叫ぶ奴隷を処分したりプロットが自由の身だと言っても借金のかたに酷い農園主に売り払ったり。心の中に良心や罪悪感を持ち合わせていても、結局自分の保身しか考えていない人という表現がうまかった。
 ブラピは自由に旅をしている白人で、黒人の平等を説く人。雇い主にも自分の意見を言い、またプロットの話を聞き、手紙を送ってほしいというプロットの頼みにも怖いと素直に吐露し、それでも実際に動いてくれるという誠実な人。白人も黒人も平等で、この先パラダイムシフトがあれば謝るのは白人の方だっていう内容の発言がいい。
 ポール・ダノの小者の演技が上手い。

表現について
 南部の暑さや虫の泣き声鳥のさえずりなど特に音に臨場感があった。また、黒人奴隷たちの歌う歌が過酷さを表現していながらとても惹きつけられた。

内容について
 黒人奴隷への扱いがあまりにも残酷で、人を物として扱うってこういうことなのかと思った。プロットが首を吊られたシーン、農園主以外は大っぴらに助けられないところも他の奴隷たちが見ないように振る舞ったりするのも辛かった。残酷な農園主のもとに買われた後に首を吊られて殺される黒人奴隷をプロットが見てしまった時も暑さと過労で奴隷が死んだ時も辛かった。女性奴隷が性的に搾取され死を願ったり、プロットが彼女に鞭を打たされたりと何処までも酷かった。
 雇われる白人労働者の1人目を信用してしまい騙されたのに、次に来たブラピが語る平等の思想に心を開き事情を話す展開が良かった。自由の身であること、字を書ける教養があることを隠さなければ生き抜けなかったプロットが、それでも言おうと思った気持ちを考えさせられる。
 最後、自由が証明できたシーンでの同情と罪悪感を感じているシーンややっと家族と再会できたシーンが感動的だった。
くじら

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