くま

大統領の執事の涙のくまのネタバレレビュー・内容・結末

大統領の執事の涙(2013年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

娯楽作品ではないので観ていて楽しいということはないです。

でも良い映画だなあ~と思うのです。

綿花農場(プランテーション)で奴隷として一家(父と母と)で暮らしていた少年(セシル・ゲインズ)のお話。

(以下ネタバレ)

農場主(白人)によって母は気を狂わされ、父は目の前で雇い主に射殺され、、家族を失いました。

これは農園を逃げるように去って出て行った先の物語。

実在の人物がモデルとなって、物語りを加えて作成された映画らしいです。

当時は白人が黒人を殺しても罰せられない、人種差別が当然の時代。
そんな時代にホテルのバーテンダーから幸運にもホワイト・ハウスの執事になってしまいます。

7人の大統領に仕えて、アメリアが大きく変わって行く様子を、歴史が動いていく様を彼の目を通して、彼の家族4人が生きて行く姿を通して描いています。

黒人がいかにして公民権、平等を勝ち取ったか、、、実際は映画の中で描写されるよりはるかに大変だったはず。

映画の中で二人目の大統領、、、ケネディ
「今度はお金持ちのお坊ちゃま、、」と言う執事の上司のセリフがあります。
ケネディは確かにお坊ちゃまで世間知らずだったかもしれないが、、
黒人に対しては偏見がなく、理解があるようでした、、南部の黒人差別、暴力に「こんなにひどいのか??」
黒人への自由を保障する法律を出すなどしますが、ダラスを遊説中に暗殺されてしいます。
そんなとても良い?大統領がこれからって時に。。。

当時、、、僕自身が小学生低学年の記憶にも強烈に残った記憶。。オープンカーでパレード中に射殺されるシーンです。

映画にはそのシーンは登場しなかったと思いますが、大統領夫人が血だらけの服を着たまま泣き崩れている姿が出てきます。
ちょっと強烈な印象です。

セシルは昔の上司に教えられます。
「二つの顔を持て!」、、、本当の自分の顔 と 白人向けの顔

セシルはその「白人向けの顔」で7人の大統領の執事として生き、生活費を稼ぎ家族を養い、人として当たり前の生活を、、、この時代に黒人の二人の息子が大学に行くというのはかなりハイレベルだと思うのです。

自分の本当の顔を隠して、白人向けの顔で生きることを選択したのです。

奴隷として生きていた少年時代、父が目の前で白人に射殺された過去、、そんな記憶が消えるわけがありません。

それでも憎しみを持たず、表面には出さず強い信念で生きていきます。
主張をしないで、上司の言われるままに淡々と執事としての業務を遂行してく、、それが彼の選択した生き方。

ふたりの息子は父とは違った、主張する生き方を選択します。
弟は国のためにベトナム戦争へ行きます。
兄は黒人の権利を訴え「黒人解放運動」に参加してのめり込んでいきます。

一時は父と息子(兄)との関係が険悪になってしまうのですが、、、、最後は理解しあえ本当の家族になります。

黒人初の大統領誕生のシーンは印象的です、、、本当のオバマ氏がTVのニュースの中で出てきます。

黒人として誇らしい、信じられない瞬間だったのでは、、、セシルの表情からそう思いました。

でも今の現実はトランプ大統領の白人至上主義?で一歩後退???、、、いろいろ騒動が起きていますよね。

今度の大統領選挙では誰が次の大統領になり、どんな世の中に? 世界が今より良くなっていくといいですね。
くま

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