「私は黒人の苦難をわかっていなかった」
まさに。
我々、と言えばおかしいかもしれないが、恐らく多くの者は自身含め米国の歴史を詳しく知らないだろう。況や、黒人のそれをや。
そんな状態でこの物語について語る事など烏滸がましいに違いない。しかし、それを知る、知るきっかけになることは間違いない。そして、その意図がこの映画にはあったのだろう。保守的なセシル、革新的な長男、国のために死んだ次男。どの立場が正しいかなど、その時代にあってわかるはずもない。ただ、少なくともその時代のことは今を生きる我々はわかる。そして学べる。例えば先日首相を狙った爆破テロがあった。これは善か、悪か。そこに第三、第四の尺度があることも、物語は教えてくれる。「後悔は先に立たないが、物語はその避け方を教えてくれる」これは僕の言葉です。
しかし、それ以上に家族の物語だった。
次男が戦死したシーンの悲しみは酷いものだった。そしてラストのセシルと長男の和解は感動した。
道中は嫌な気持ちにもなるが、学び多く、そして最後には心温まる物語だった。