青二歳

大統領の執事の涙の青二歳のレビュー・感想・評価

大統領の執事の涙(2013年製作の映画)
4.1
ホスピタリティについて正面切って取り上げた映画。西洋のホスピタリティは日本のおもてなしと違うんだな。空気に徹するからこそのサービス。"ハウス・ニガー"としての誇り高いホスピタリティこそが静かに黒人の地位を高めてゆく。力強いもうひとつの"公民権運動"。
黒人としてアメリカに生きたひとりの執事の一代記。

人種上の対立は悲しくも根深いと理解するが、その対立する人種を使役する感覚だけはわからん。白人による奴隷制の名残が怖い。
黒人が使役されるのでなく、労働に正当な対価を得られる機会が確立するまで、多くの血が流れたことを想う。そしてこの一代記は、奴隷制が廃止されてもなお血を流したアメリカ黒人社会の歴史。

ホワイトハウスの引継ぎが就任式の間に済まされるとは。歴代大統領ほとんど似てないのはご愛嬌。アラン・リックマンを楽しみにしてたがまさかのレーガン。

こんな映画を観た夜は、ニーナ・シモンの力強い"ミシシッピ・ガッデム"を聴きたくなります。
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