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収容病棟のnanaのネタバレレビュー・内容・結末

収容病棟(2013年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

まもなく終了するGYAOで配信されていたので、こういう機会でもないとなかなか観ないだろうということで鑑賞しました。
ワン・ビンの中でも比較的見やすい作品とも聞いていたし。

延々と映し出されるのは中国・雲南省にある精神病院。
実際に入院しているさまざまな患者が出てくるのですが、彼らの行動を淡々とカメラが追い続けます。
ドキュメンタリー映画をクルーが撮影しているという感じはあまりなく、まるでカメラが透明になって病院の中に紛れ込んでいるようです。

プライバシーのようなものはまるでなく、3~4のベッドだけが置かれている部屋で寝る患者たち。
院内に充分な数のトイレがないのか、排せつの管理を上手くできないからなのか、部屋の中で排せつをする彼ら。
カメラの前だからなど関係なくふるまう患者たちの様子は、本当にリアルな日常なのだと感じます。

恐ろしいのは、一言で「精神病院」と言いつつもそこでは薬物中毒者、殺人者、政府に歯向かった者、一人っ子政策に反発した者、過剰な信仰心がある者などをひとくくりに「異常なふるまいをする」=精神的に問題を抱える人物として同じ病院、同じ部屋に収容していることです。
ずっと「家に帰りたい」と主張を続ける患者の姿が辛い。
ここに来たからおかしくなってしまったんだ、というような台詞もありました。
この病院は現在どうなっているのでしょうか。
精神病の患者を社会から切り離し病院に閉じ込めて、「見えない者・いない者」とるするようなことは、かつての日本でもきっと行われていたことです。
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