【導かれし者たち】
運良く公開2日目に鑑賞。
鑑賞後妙にスッキリせず、このレビューもとい評論も3回程書き直して、やっと納得感がでてきた次第。
*以下、物語の展開に関するネタバレありです。
結論、今回のエピソード7のテーマと私の違和感の正体はずばり「英雄の不在」と「群像劇の弱さ」にあると思っている。
過去、ルーカスが神話をベースにしたことは有名だが、エピソード1-3がアナキン、エピソード4-6がルーク、と陰陽の立場が対をなし、フォースという大いなる運命に導かれた英雄(とその仲間たち)の物語=『スターウォーズ』はまさにサーガ(英雄譚)そのものだ。
しかし、エピソード7に英雄は“不在”だ。
正当なる英雄の血族にあるレイは守るべきものを持たない天涯孤独の身であるがゆえに英雄の剣(ライトセーバー)を継ぐことを拒否し、カイロは弱さゆえに英雄の剣を継ぐことも、非情の仮面に徹した祖父ダースベイダー(暗黒の英雄)になることもできず苦悩する。
かたや、帝国の一兵卒から正義に目覚め英雄となり得たフィンは帝国への恐怖から「自分はヒーロー(英雄)ではない」とことあるごとに自嘲し、反乱軍のポーは飛び抜けた実力をもつエースパイロットでありながら組織軍人であるがゆえに自ら状況を脱し運命を変える英雄たりえない。
(蛇足:こう思うとポーの描写はもっとあってもよかったと個人的に思う)
伝説の人 ハン・ソロ、反乱軍のリーダー レイア将軍は、その立場に縛られ、かつての英雄 ルークの復活を待望するばかり…
その意味で英雄の影に振り回され、追い求める人々の群像劇として楽しむことも出来たのだろうが、そこは個々のキャラクターの深堀が浅く、ぶつ切りな印象を受けてしまった。
(JJエイブラムスの手法とスターウォーズの作劇を踏襲すればこうなるのは仕方ないとも言える。)
結果、英雄譚の英雄を中心とした物語を期待した私にとってはあてが外れてしまったというところか。
…と、長々自分の不満の原因分析をしてしまったが、大きな期待もある。
あのラストによって、ついに“英雄”に辿り着いたことで次のエピソードは大きく進展を見せることが明らかだからだ。
あえて、例えるならドラクエ4の第5章「導かれし者たち」的な盛り上がりを期待したい。
ということでスコアは控えめに3。
「勇者よ、目覚めなさい」
〜ドラクエ4 キャッチコピーより〜