Eike

スター・ウォーズ/フォースの覚醒のEikeのレビュー・感想・評価

3.2
作品として率直に○か×かといえば○を付けます。
が、感想はちょっと複雑でしたかね。

本作より以前の6作については全てリアルタイムで見ていましたが熱心なファンではありません。
そういう立場からすれば本作のストーリーに関しては特に言うことはありませんでした。
というのは、もはやSWは物語がどうのこうのといった「映画」ではないと感じたから(良し悪しは別として)。

では何が重要なのかといえばそれは結局「世界観」ということに尽きます。

私はルーカス監督によるエピソード1-3については全くノレなかった不幸な身(笑)。
全編にわたってCGを駆使した映像は確かに革新的であったかもしれませんがどうしても違和感を覚えずにはいられなかったのであります。
また、その物語もSW的であることに縛られているが故なのか肥大化する一方に見えてちっともワクワク感を抱くことができませんでした。
結局CGアニメーションに俳優の演技がはめ込まれているようでどうしても窮屈に感じられて最後まで馴染めずに終わりました。

ということで今回のエピソード7にはとりあえず「生身の役者と実写風景」が全編にフィーチャーされていてCG紙芝居にはなっていなかった訳で、それだけでも好感が沸きました(実際にはデジタルの使用は相変わらずですが)。
このスタイルの方がよっぽどSWらしいと感じるのは世代ゆえなのでしょうね。
アメリカの批評家筋などで本作の評価が異様に高かったのは、やはりオリジナルのトリロジーを体験して育った世代の方に本作の受けが良かったからではないかと思います。
では現代の若い世代の方々は率直にどうお感じになられるのでしょうか。

オリジナル3部作の世界観の再現(というと失礼か、では再興と呼びましょう)を目指す姿勢は明らか。
一定の範囲でそれにも成功しているとは思いました。
そしてそれを喜ばしいことと感じることが出来ました。
しかし果たして本当にそれだけでいいのかとなるとそれは別の話でしょう。

私が引っかかりを覚えるのはこのJ・J・エイブラムス氏の姿勢に対して。
エイブラハムス氏にとって本作は監督作としてはまだ5本目。
そのフィルモグラフィーを見ればMI-3から始まってスター・トレックシリーズが2本、そして”Super8”。
と羅列すれば明らかなようにリメイク、シリーズ作が異様に多いことに気づかされる。
もちろん本作「フォースの覚醒」もその系譜に連なります。

唯一のオリジナル作”Super8”もエイブラムス氏自身がスピルバーグ監督作へのオマージュを公言していたわけでETやグーニーズといったスピルバーグ印の80s諸作の雰囲気の再現を狙った意図は明らかでした。
逆に言えばエイブラムス氏自身の強い主張や個性は微塵も感じとれず、娯楽作として見栄えは良くても作品として強い個性と呼べるものは伺えませんでした。
その点が私にはとても不満です。
しかし、現在主流のデジタル化されたブロックバスター作では個性などよりデジタルと実写とをいかに融合させるのか、
そのバランス感覚の方がはるかに求められているのでしょう。
そしてその点でエイブラハムス氏が才に長けていることは間違いない。
この方は私の目にはフィルムメイカーというよりはクリエイター或いはプロデューサーとして写るんだなぁ。

本作以降、SWフランチャイズはディズニーの傘下に入ったわけで普通に考えるとマーケティング主導のイメージが先行するのは明らかだったと思います。
そこであえて旧三部作のタッチを取り込んだスタイルを選んだエイブラハムス氏の臭覚にはやはり「策士」というイメージが湧きました。
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