Zuma

ダラス・バイヤーズクラブのZumaのレビュー・感想・評価

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)
4.5
社会、人間の闇と

エイズ、HIVウイルスの恐ろしさ

強い信念、自分が正しいと思うことそれを貫くことが人生であるということを教えて貰った。
腐敗した医療制度を相手に、未承認新薬を乱用しつつ、効き目が確かなものを広めてゆく姿はとても痛快だった。

それにしても、政府と製薬会社が組んで毒性の強い薬品を公式で販売し金儲けをする姿は衝撃的で、人間の汚い部分が垣間見れた。
圧倒的な力を持つ巨大な組織も、時に腹に1本の槍をしっかりとくくった一人の力に、打ち滅ぼされることが本当に感動だった。

なんといってもこの作品が、傑作になる要因の一番はなんと言ってもマシューマコノヒーの技量の高さである。様々な新薬やドラッグを乱用し蝕まれた不健康な痩せ方をした身体が、本当によく役作りされていて本当にヤク中なんじゃないかと思わせるのは、役者魂を感じた。
特に、序盤エイズであることを病室では事実を信じられず、カルテを医者に投げつけるような始末であったが、運転中という1人になった時に事実を目の当たりにし自覚が芽生えて感極まるシーンは、リアルで生々しいさを孕むとても印象深い場面であった。この際のマシューが演じるロンの心情の変化は複雑で、観ていて本当に胸が痛かった。

また、近年の映画で特によく取り上げられるLGBTQに関してもよく映し出されており、ゲイを毛嫌いするロンを支えるトランスジェンダーのレイヨンは、とても美しく中盤モーテルを借りた際のシーンでロンが「パートナーだ」というセリフは、とても感慨深く心に響いた。

ロン・ウッドルーフという一人のカウボーイの働きかけは、エイズに苦しむ多大の人々に勇気と希望を与え命を救い、腐敗した医療制度に溺れる利権まみれの医者達にも莫大な影響を与えたことは、間違いないだろう。
ロン・ウッドルーフに、平安をお祈り致します。

今作の名言
《自分の身体に何を投与するかを決めるのは、俺だ。》
I say what goes in my body, not you.
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