都部

オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主の都部のレビュー・感想・評価

3.3
B級映画としては秀作の部類に位置する本作は、幽霊の証言を交えた推理劇と悪霊との幻想的な対立が同居している。CGIによる悪霊の表現は物語に度々 一定のスリルを与えるものとなっていて、そうした悪霊の脅威を回避しながら事件の真相を突き止めるといったサスペンス要素を孕んだアドベンチャーゲーム的な味わいが特徴的だった。

96分という尺を鑑みても早いと思えるテンポ感は優秀であるし、それが却って物語の一本調子化を招いてはいるが、次々と展開される真相への情報の開示が物語の停滞を要所要所で防いでいる。目下に迫る原因不明の大量虐殺の回避という縦軸に対して、いささか軽妙すぎる節はしかし否めないようにも思えたが。

幽霊を通した推理の絵面は面白い。

映像的なトリックの見せ方は印象的で、伏線の張り巡らせ方も個人的には申し分ないように思えた。かなり大味だが最低限の体裁は整っているし、ある意味 予期せぬ結末が物語の締め括りを味わい深いものにしているので全体評価はやや高くなる。映画と言うよりドラマ作品のような質感は気になるが、お金をかけるべきところでお金をかけて派手な絵面は確保してるのでこの辺りは慣れである。
都部

都部