残念ながら、主人公になんら共感することもなく、まったく代償の伴わないタイムトラベルを酷使して、労せず幸福を手に入れる姿にどうやって感動すれば良いというのか。タイムトラベルを使える主人公のせいで運命を意のままに操られている彼女が不憫にすら思えた。タイムトラベルによって散々幸せを掴んできた主人公が最後に、1日1日を大切にしようみたいなメッセージを語るのだから腹が立つ。その能力がなければ、もしかしたら結婚もできず、父親とも喧嘩別れしていたかもしれないというのに。
ただ、僕はこの映画のクライマックスで、恥ずかしながら声を上げて泣いた。まさに号泣をしてしまった。それは2人の恋愛にではなく、主人公とその父親の親子愛にだ。恋愛映画はそこまで好きではないが、親子のヒューマンドラマはたまらなく好きだ。タイムトラベルというギミックを使って、恋は運命じゃなくて必然なのさみたいなストーリーが続くかと思えば、そんなの絶対泣いちゃうじゃんって展開が待ち受けてて驚いた。そして、まさに泣いちゃった。めちゃくちゃ切なかった。
これだけ泣いてしまったら、いくら主人公に共感できなかったとしても、良い作品だったと言わざるをえない。
